DirectX 8 がもたらす危機
つい先日、掲示板でも同様の話題を扱ったが、DirectX 8(以下、DX8)に関してもっとよく調べてみると、実はDX8の登場がかなり深刻な問題を引き起こすであろうことが明らかになった。
DX8は従来のバージョンと比べて大きく異なる部分がある。 それは映像描画に関する部分である。 DX8では新たにDirectX Graphics(以下、DG)というコンポーネントが追加され、これにより今まで複雑だった3D描画に関する手続きが大幅に簡略化されたのである。 これだけ聞くと3Dソフトウェアの開発者にとってはまさに朗報である。 しかし、これで終わってくれればよかったのだが、この話には続きがある。
従来のDirectXを用いて3D描画をおこなう場合、DirectDraw(以下、DD)とDirect3D(以下、D3D)の2つのコンポーネントを用いる必要がある。 DDは2D描画をおこなうコンポーネントであり、またD3Dは文字通り3D描画をおこなうコンポーネントである。 従来の3D描画では、DDを初期化した後にD3Dを初期化するという二度手間ともいえる手続きをおこなう必要があった。 そこでこの2つを統合し手続きが簡略化されたDGが誕生したというわけである。 そうなるとD3Dはもはや不要となり、実際にDX8でD3Dは廃止された。 ところが、どういうわけかDDも同時に廃止されてしまったのである。 簡単にいうと2D描画が廃止されてしまったのである。
DX8からDDが廃止されたことにより、近い将来、各グラボの3D描画機能の拡充に拍車がかかり、逆に2D描画機能は基本的な部分を残し大部分が削除される可能性がある。 そうなると2Dゲームなどは危機的状況に立たされることになる。 もしかすると完全に絶滅してしまう可能性も十分にあり得る。 そういえば、海外からのゲームソフトウェアの大半は3Dゲームである。 海の外では既に2Dは不要な存在なのかもしれない。 しかし、2Dを楽しみきらないうちにそれが絶滅することを果して許してよいものか?